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適性検査分析

東京都立
三鷹中等教育学校

基本情報

三鷹中等教育学校 外観

学校紹介

都立三鷹高校を設置母体として平成22年に都立中高一貫6年制学校として開校(設置形態は中等教育学校)。前身の都立三鷹高校は昭和23年に創立。

住 所

東京都三鷹市新川6丁目21番21号

電話番号

0422-46-4181

アクセスマップ

過去の入試データ

募集人員

年度 2020 2021 2022 2023 2024
80 80 80 80 80
80 80 80 80 80
160 160 160 160 160

応募者数

年度 2020 2021 2022 2023 2024
456 444 455 404 339
486 457 489 520 430
942 901 944 924 769

受検者数

年度 2020 2021 2022 2023 2024
442 430 439 387 319
468 441 475 500 404
910 871 914 887 723

合格者数

年度 2020 2021 2022 2023 2024
80 80 80 80 80
80 80 80 80 80
160 160 160 160 160

実質倍率

年度 2020 2021 2022 2023 2024
5.53 5.38 5.49 4.84 3.99
5.85 5.51 5.94 6.25 5.05
5.69 5.44 5.71 5.54 4.52

適性検査分析

適性検査Ⅰ

【出典】
文章1:三浦しをん「墨のゆらめき」による
文章2:標野凪「こんな日は喫茶ドードーで雨宿り。」による

【出題形式】
今年度は小説文2本からの出題でした。全体のテーマとして「多様性」という点では前年度度同様でした。〔問題1〕と〔問題2〕の解答字数は前年度と比べると、増加しました。〔問題3〕のテーマは先述した通り「多様性」となり、作文に書くべき内容も指定されています。〔問題3〕の難易度は前年度と大きくは変わらないものの、〔問題1〕と〔問題2〕が難化したこともあり全体としては前年度と比べ難化しています。作文の〈きまり〉は前年度と同様でした。

〔問題1〕指定部分の理由を答える問題
文章中の「俺」が「窓からの風を感じたあとの生徒たちの字は生き生きと躍動して見えた」理由を答える問題です。「俺」は生徒たちの「風」という字を見て、「こんなに多種多様で自由なものだったのか」と感心しています。したがって、「字が自由に見えた→だから、躍動して見えた」と、因果関係で結ぶことができます。あとは、字がなぜ自由に見えたのか、などの情報を足せば解答が作れたはずです。

〔問題2〕指定部分の理由を答える問題
そろりさんがなぜメニューに「自信が持てるあんバタートースト」という名前を付けたのかを答える問題です。さらに設問の指示に「そろりさんの意図を想像して」とありますので、そろりさんの発言以外にも注意を向けるなど広く考える必要があります。そして、設問にある「(  )というメッセージをお客さんに伝えるため。」という部分に注目しましょう。「だから自信を持つことが大切なんですよ」「自分を信頼すること(が自信)ですよ」など、「そろりさん」が「朱莉」に伝えた発言をもとに、そろりさんの意図を想像して解答を作る必要があります。

〔問題3〕文章の内容をふまえて作文を書く問題
〔文章1〕〔文章2〕の内容をふまえて作文を書く問題です。
字数や作文内に書くべき内容が指定されているなど、前年度と傾向は同様です。また作文のテーマとしては「多様性」となり、昨年度と重なる部分が多いです。〔文章1〕の多様性を認めることで自信につながる、〔文章2〕の誰かが決めた画一的なことではなく、自分のことを信頼して自信を持っていくという内容をふまえ、書くべき内容を逃さずに書くことが重要となります。作文のテーマが書きやすいものでしたので、書くべき要素を押さえて、適切な具体化ができているかが得点を分けます。

適性検査Ⅱ

【大問1】「グリーンウォーク」という学校行事の準備を題材にした問題
大問1は独自作成で、例年通り3問構成でした。

〔問題1〕は指定の条件を満たすような時刻と位置の関係を表すグラフをかく問題でした。
三鷹中では図をかく問題が例年出題されていますが、グラフをかく問題については出題例が少ないです。出題形式と、正解するための肝となるものがほぼ同様の問題が以前共同作成問題で出題されており、それを解いたことがある受検生には必答問題でした。算数が少し苦手な初見の受検生には少し難しかったかもしれません。
〔問題2〕は円周率を使って計算する問題でした。三鷹中では例年、円周率を使って計算する問題が出題されており、今年度で7年連続の出題となりました。円形のメダルのまわりに貼る紙の長さを計算し、紙が足りるかどうかを答える問題した。何かを作成する際の材料の量に関わる問題は2022年度の共同作成で出題されており、こちらも〔問題1〕同様にその問題を解いたことがあるかどうかで解答を出す難度は異なる一問でした。
〔問題3〕はチーム対抗企画の結果をもとに、複数の得点基準に基づいて得点と順位をつけ、さらにどの順位の決め方が良いと考えられるかを記述する問題でした。複数の方法を比較しどちらが優れているかを記述する問題は昨年も出題されています。それぞれの得点の求め方は資料から読み取れますが、作業量が多かったため計算の速さや正確さが必要になりました。また、良いと考えられる方法の記述は、自分で求めた計算結果をヒントに考えることができると簡潔に書けたと思います。答えにたどり着くまでに時間がかかるため、飛ばした受検生が多かったと思われます。おそらく、ここの一問は合否を左右しなかったでしょう。

【大問2】公共交通機関の利用について考える問題
令和3年度から引き続き小問2題の構成で、計算問題は出題されていません。大問全体の話題は、令和3年度から令和5年度までは3年連続で日本の産業を題材にした内容だったのに対し、今年度は令和2年度と同様に公共交通機関を題材にした内容となっていました。

〔問題1〕は、公共交通機関の利用割合が偏っている理由を、所要時間と料金の観点から考察する問題です。解答に用いる資料を受検生に選択させる形式は、5年連続の出題となりました。出題者側が想定している解答の分かりやすい、平易な問題でした。
〔問題2〕は、「ふれあいタクシー」を導入することになった理由と、その効果について考えられることを、複数資料を組み合わせながら説明する問題です。ひとつの問題で解答すべき内容が複数ある形式は、4年連続の出題となりました。参考にしなければならない資料は多いものの、こちらも解答の方向性が明快で、平易でした。
会話文や資料が過年度の適性検査問題と比較しても標準的な内容であるため、2問とも難易度は高くありません。解答の根拠になる部分を会話文や資料から適切に読み取ったうえで、問われていることに対しての答えをわかりやすく表現する力をみられる問題でした。

【大問3】「まさつ」について調べる実験を題材にした問題
ここ3年連続していた、小問が2問あり、それぞれに設問が2つある実質4問の問題構成から一変、小問が2問、設問も1つずつの実質2問構成となり、問題量が大幅に減りました。2問とも記述の要素を含みますが、分量がそれほど多くもないため、単純に負担が減ったと考えられます。実験結果の考察が中心で、計算が必要な問題はありませんでした。

[問題1]は、ペットボトルのキャップにつけられたみぞのまさつによる効果を、モデル化した実験で確かめる問題です。実験の内容そのものは結果も素直で分かりやすいものではありますが、問題で問われている内容を過不足なく盛り込んで完全な解答を書く観点を持たずに、ぱっと解答をしてしまうと、要素が不足して減点となりうる、問題文の読解力で点数の分かれる問題でした。
[問題2]は、斜面をすべり下りる物体の摩擦力が、接地面の素材にどのような影響を受けるかを、実験から明らかにする問題です。複数の条件が設定されているので、対照実験の考えを使うことが必要になりました。実験の内容そのものは比較的分かりやすいものであったため、対照実験の仕組みの理解とそれを言語化できるかどうかが得点の肝でした。

適性検査Ⅰ

【出典】
文章1:まど・みちお「ぼくが、ここに」による
文章2:野田祥代「夜、寝る前に読みたい宇宙の話」による

【出題形式】
今年度も【詩】と【文章】からの出題でした。〔問題2〕と〔問題3〕で【詩】と【文章】を横断して考えるという点も前年度と同様でした。ただ、〔問題2〕の解答字数が前年度と比べ、減少しました。また、〔問題3〕の作文のテーマは「他者を認める・尊重する」で、都立中で頻出のテーマとなっています。このような点から今年度は前年度と比べると若干易しくなっています。【詩】と【文章】も前年度と比較をすると、読みやすいものとなりました。作文の〈きまり〉は前年度と同様でした。

〔問題1〕<言い換え問題 字数10字以上15字以内>
【文章】の「心の目で見る」を言い換える問題です。「心の目で見る」ですので、ただ目で見ることとは違う見方をするということをおさえ、それが【文章】ではどのように表現されているかを探すことが重要となります。前年度の〔問題1〕は【詩】から読み取る問題でしたが、今年度は【文章】から読み取る問題でした。

〔問題2〕<【詩】と【文章】を横断して考える問題 字数25字以上30字以内>
【詩】と【文章】を横断して「ぼく、ゾウ、マメ」と「地球という惑星」の共通点を答える問題です。前年度と比べ〔問題2〕の字数が大幅に減少しています。今年度の問題のなかで本問が一番難易度の高い問題でした。解答を作る際に、【詩】の内容から考えていくと【文章】からどこを解答として使用するかを絞りやすくなります。

〔問題3〕<作文問題 字数360以上400字以内>
【詩】と【文章】を横断して考える作文問題です。
字数制限は360字以上400字以内です。前年度と比べ、書かなければならない最低字数が増加しました。問題にて書くべき内容が提示されている点は前年度同様でしたが、「理由」・「どのようなことをしたいか」という書くべき要素の指定が加わった点は前年度からの変化です。ただ、作文で書くべき内容は「他者の尊重」のような方向性となるため作文自体は書きやすいものでした。作文のテーマが書きやすいものでしたので、書くべき要素を押さえているか、適切な具体化ができているかが得点を分けます。

適性検査Ⅱ

【大問1】遠足で行く山のケーブルカーやリフトを題材にした問題
大問1は独自問題で、例年通り3問構成でした。

〔問題1〕は図で表された地図を模式的な図にかきかえる問題でした。図をかく問題は前々年度から3年連続で出題されています。例を参考にしながら会話文の条件に従って解く問題で、正解しておきたい問題です。
〔問題2〕は円周率を使って計算する問題でした。三鷹中では例年、円周率を使って計算する問題が出題されており、今年度で6年連続の出題となりました。ケーブルカーの速さと距離から、ケーブルカーに使われる滑車の回転する速さを計算し、求め方を説明する問題です。計算に必要な情報を会話文から読み取ることが求められる問題で、計算自体は難易度の高いものではなく、説明の記述についても前年度と比較すると書きやすい問題でした。
〔問題3〕は①と②の2題に分けて出題されており、ケーブルカーとリフトの待ち時間を考え、徒歩と比較してどの方法が早く下山できるかを考える問題でした。ケーブルカーを使う場合とリフトを使う場合のどちらか片方を答える形式のため、考えやすい方を選ぶ必要がありました。①では、待ち時間を考慮しなければならないケーブルカーやリフトについて、徒歩より早く下山できるときの並んでいる人数の最大値を答える問題でした。②では、問題で設定された並んでいる人数をもとに、①で選んだ乗り物と徒歩のどちらが早く下山できるかを計算し、時間以外のそれぞれの利点をもとに下山するのに良い方法を説明する問題でした。ケーブルカー、リフト、徒歩それぞれの料金と他の良い点は問題文に書かれているため、記述としては書きやすい問題でした。

【大問2】日本の産業構造の変化をテーマにした問題
前年度、前々年度と同様に小問2題の構成で、計算問題は出題されていません。大問全体の話題も引き続き日本の産業について考える内容でしたが、前年度、前々年度は第1次産業を中心とした内容だったのに対し、今年度は日本の産業構造全体に関連する内容となっていました。

〔問題1〕は、3つの年代における産業別の就業者数と就業者数の最も多い年齢層の変化を読み取る問題です。
〔問題2〕は、6次産業化の利点を、農家の人たちの立場と農家以外の人たちの立場からそれぞれ考えて説明する問題です。どちらもひとつの問題で答えるべき内容が複数あり、また、資料のどの部分を使用して答えるかを受検生に選択させる形式となっています。会話文や資料自体は過年度の適性検査問題と比較しても特に複雑といえる内容ではないため、読み取りの難易度は高くありません。条件を守りながら問いに対して正確に答える力をみられる問題でした。

【大問3】ものが水滴をはじく様子および水分を吸収する様子を調べる実験を題材にした問題
前年度に引き続き小問は2問でした。各小問に2つの設問があり、実質4問の出題です。
実験結果を読み取り、ふさわしい記号を選ぶ問題が1題、実験結果を読み取った分析結果を記述する問題が3題という内訳でした。実験を読み解くうえで必要な数値については会話文中に与えられていたので、計算はあまり必要ありませんでした。
前半は植物の葉が水滴をはじく様子を調べる実験が題材となりました。葉の形、葉の面積、水滴の写真、水の量の変化といった実験結果を比べ、水滴が転がりやすい葉と転がりにくい葉のちがいをどのように判断するか記述で答えることが最終的な目的です。転じて後半は衣服が水分を吸収する様子を調べる実験が題材となりました。ポリエステルの布の方が木綿の布に比べて水をより多く吸収する理由を実験結果から考察する問題、シャツから蒸発する水の量を求める方法を説明する問題という構成でした。いずれも実験内容の把握と記述答案の作成に時間がかかったと思われます。

適性検査Ⅰ

【出典】
文章1:川崎洋「とんび」による
文章2:江國香織「川のある街」による

【出題形式】
今年度は昨年度と同様に詩と文章からの出題でした。しかし、今年度は問題数に変更がありました。まず解答する問題数が1つ増えました。字数も100字以内の記述が加わり、作文問題も350字以上400字以内と字数が増加しました。さらに今年度は詩と文章で横断して、読解をしなければならなくなり昨年度より難化しています。作文問題の〈きまり〉については昨年度と同様でした。

〔問題1〕<20字以内の読解記述問題>
問題1は詩の「見えるもの」と「見えないもの」は「とんび」という鳥の場合、何を指すかを説明する20字以内の記述問題です。「見えるもの」と「見えないもの」、見えていてわかるもの、見えていないからわからないもの、という読み方ができるかどうかが正否のポイントでした。詩の内容を読み取る問題でしたので、昨年度と近い出題でした。
〔問題2〕<100字以内の読解記述問題>
問題2は詩の作者の考え方をふまえ、文章の望子がどんなことから何を感じ取ったかを説明する100字以内の記述問題です。この問題は昨年度の問題とは異なり、共同作成では頻出の、詩と文章を横断して考えなければならない問題です。さらに100字以内という字数設定も昨年度には見られないものでした。
〔問題3〕<350字以上400字以内の作文問題>
問題3は詩と文章を読み、「見えるもの」からその背後にある人の思いが伝わり、自分のものの見方の考え方が広がった経験を書く作文問題です。
こちらも昨年度とは変わり、字数が350字以上400字以内になり、書くべき字数が増えました。問題にて作文で書くべき内容が明確に提示されているため作文の方向性はわかりやすかったと思います。作文内では、自分のものの見方や考え方がどう変化したのを具体的に示す必要があります。

適性検査Ⅱ

【大問1】<「らせん階段」を題材に順列、円柱の展開図、円の面積を考える問題>
大問1は三鷹中独自作成問題で「らせん階段」を題材にした問題が出題されました。
昨年度に引き続き、今年度も小問3題が出題されました。小問3題構成は4年連続となります。昨年度と同様に全4ページでした。
問題1<並べ方について考え、説明する問題>
らせん階段をかざり付けるかざりの付け方の並べ方の問題でした。条件には階段のすべての段の面にかざりを付けるのではなく、1面おきに付けていくとありました。奇数段目に付けた場合と偶数段目に付けた場合の2通りを考える必要があります。
また、並べ方の決まりが書いてあり、9個のかざりのうち最初の3個の並べ方だけを考えればよいので、作業量が少なく、正解しやすい問題といえます。
問題2<立体図形を分析し、展開図を考える問題>
らせん階段を円柱とみなし、円柱の側面部分にらせん階段の手すりの部分にあたる線をかく問題でした。計算は不要で、立体の手すりを展開図の中にかくものです。立体図形と展開図についてたくさん練習してきたかが問われる問題です。
問題3<数理的考察をし、計算式を用いて説明する問題>
2種類のらせん階段のゆかに対して平行な面(踏面)の面積を等しくしたとき、2種類のらせん階段の設置に必要な面積、つまりらせん階段を上から見た円の面積を比べる問題でした。計算に必要な数字は自分で決める必要があります。
2020年度まで続いていた選択形式の問題は昨年度に続き2年連続で出題されず、択一問題となりました。

【大問2】
大問2も昨年同様、小問2題の構成で、計算問題は出題されていません。また、きっかけとなる話題も昨年の林業に引き続き第1次産業を取り上げています。
問題1は、魚の保存方法と気候を関連づける問題で、問題2は、3つの穀物の栽培に適した気候を考えさせる問題でした。また、問題2では3つの穀物から2つを選んで解答させるという昨年同様の3つの資料から、2つを選んで答えをつくる形式が踏襲されました。問題1・問題2とも、降水量と気温に注目する問題でしたので、思考の方向性を変える必要がなく、出題形式や問われている内容もオーソドックスであり、受検生には取り組みやすい問題でありました。

【大問3】
大問3は石けんと洗剤の汚れの落ち方を調べる実験を題材にした問題です。基本的な知識をもとにして、汚れの程度を観察結果や汚れの粒の数や重さ、加えた洗剤の量をもとにして思考判断し、理解したことがらを適切に表現する力が問われる問題です。実験結果を比べて特徴をつかんだり、数量の変化をとらえて説明したりする内容です。水溶液の濃さの考え方を活用する問題も含まれました。昨年に引き続き、小問2問でしたが各小問は2つの設問からなり、実質4問の構成でした。4問中3問が記述式の解答形式となっており、1題は計算により油汚れを落とすのに必要な洗剤量を求めるものでした。全体的に問題の文章量が多く記述量も多いので、問題内容の把握と答案の作成に時間がかかったと思われます。

適性検査Ⅰ

【出典】
文章1:長田弘「本という不思議」による
文章2:谷川俊太郎「木」による

【出題形式】
2021年度は出題形式が大きく変わりました。まず文章2題構成ではなく、文章と詩の構成になりました。また問題も、例年はそれぞれの文章について読解問題と作文問題を解く形式でしたが、2021年度は文章と詩の両方を読み、共通する読解問題と作文問題を解く形式でした。
作文問題は1題に減った分、字数が325字以上350字以内に変更になりました。ただ、書く際の〈きまり〉は2020年度同様、「最初の行から書き始めること」と「段落を設けないこと」、「記号が行の先頭に来るときは前の行の最後の字と同じますめに書くこと」でした。

問題1は、「名づける」ということについて文章と詩のそれぞれから説明させる、30字以上40字以内の記述問題です。文章からの読み取りは第一段落でしっかりと説明されているので容易に解答できると思いますが、詩の読み取りはどの部分が「名づける」に該当するのかを正確に読み取らなければ正解にたどりつけなかったと思います。特に、詩は三鷹中では初めての出題となったため、面食らった生徒も少なくはないでしょう。

問題2は、問題1の考え方をふまえてテーマに即した自分の意見・体験を書く、325字以上350字以内の作文問題です。問題1でとらえた考え方のうちどちらかに触れた上で、「じぶんがどこかでちがってくる」経験を具体的に説明させる作文問題です。
こちらも例年とは形式が大きく変わり、作文問題が1つだけになり、字数も325字以上350字以内と変更されました。「じぶんがどこかでちがってくる」こと自体は文章の方で説明されているので、文章からとらえた考え方を使うと比較的楽になると思います。「じぶんがどこかでちがってくる」ということは、何かを経験する前の自分と経験した後の自分の変化ということであることを正しくとらえる必要があります。

適性検査Ⅱ

【大問1】
大問1は三鷹中独自作成問題で「博物館の展示物」から「和風建築」や「和算書」、「国会議事堂」を題材にした問題が出題されました。2020年度に引き続き、2021年度も小問が3題出題されました。小問3題構成は3年連続となります。2020年度と比べると問題量が1ページ分減っており全4ページでした。
問題1は畳の並べ方を参考に5枚の紙を正方形の形にする並べ方を考える問題でした。回転させるとぴったり重なる並べ方は同じ並べ方として考えなくてはならなかったので、手を動かし書き出して試行錯誤しながら考える必要がありました。
問題2は会話文の波線部に書かれた円の面積の求め方から、円周率を求めて説明する問題でした。直径を自分で決めてから解く問題なので、計算しやすい数字を自分で決める必要がありましたが、会話文の波線部の通りに解けば平易な問題でした。
問題3は立方体を10段積み上げて作った模型の表面に色画用紙をはるとき、必要な色画用紙が何枚になるのか考えて、求め方を説明する問題でした。2020年度まで続いていた選択形式の出題はなくなりました。2020年度まで続いていた選択形式ではなくなり一択となりました。積み上げた模型の表面積の求め方が分かれば標準的な難度の問題でした。立方体の1つの面につき4枚の色画用紙が必要だということを忘れずに計算しましょう。

【大問2】
大問2は、木材(林業)をテーマにした問題でした。林業に関するさまざまな資料から、林業が抱えている問題点と解決策について、自分なりの考察を加えていく問題でした。会話や資料から読み取ったことに基づき、自らの考えをわかりやすく伝える能力が試されました。2021年度は、例年と異なり小問が3題から2題になっていました。そのため、大問2にかける時間も例年より短くなったと思われます。
問題1は、資料を読み取り、記述する力をみる問題です。与えられた資料(図2)から、今後持続的に木材を利用する上での課題を読み取り記述する問題でした。ただし、「会話文や図1の人工林の林齢と成長に着目し」との条件がついていましたので、読み取る方向性は1つにしぼられます。
問題2は、複数の資料の関連性を考え記述する力をみる問題でした。与えられた3つの資料から2つを選び、それぞれの資料がどのような立場の(人々)の取り組みで、その2つの取り組みが「間ばつ材利用の促進」にどのように関連しているかを説明する問題でした。2つの資料の選び方によって、解答の作成のしやすさが分かれる問題でした。

【大問3】
大問3は、磁石の性質を題材にした問題です。実験を通じて、さまざまな条件下での結果を考察する問題でした。問題1は、磁石の性質を利用し、磁石のついた鉛筆を鉄板の上に置いてある磁石の上で浮くかを例の図から考察する問題でした。
問題2は、すでに行った実験とおもりをつり下げることができる最大の重さと、1辺3cm以下の正方形ではシートの面積に比例することから、つり下げられる重さとおもりの個数を考察する問題でした。2021年度は問題3がなくなり小問が1題減りました。

適性検査Ⅰ

【出典】
文章A:恩田陸「栞の救出」による
文章B:村山達也「人間の自然」による

【出題形式】
二つの文章を読み、それぞれの文章に対して問題が二題ずつ出題されるという形式は例年通りでした。
しかし、例年、物語文に近い形式で出題されていた文章Aが今年度は説明的文章に近い形の随筆文になっており、面食らった受検生も多いと思います。作文の字数は二題とも180字以上200字以内で注意事項も昨年度と同じでした。また昨年度は問題4が読解要素を含まない作文問題でしたが、今年度はまた読解要素を含む作文問題になっています。さらに、問題2と問題4のどちらも具体例を挙げて書くという条件が出されていました。
問題1と問題3はそれぞれ傍線部についての読解問題でした。問題1は傍線部をわかりやすく言い換えたうえで現実との対比をし、そこから気持ちを判断しなければならないため、多少難度が高い問題でした。
一方、問題3は指示語の内容を明らかにして傍線部をわかりやすく言い換える問題だったため、深く考えすぎなければ比較的容易な問題だったと言えます。問題2は「読むこと」と「眺めること」の違いを筆者がどうとらえているかを書かせる問題でしたが、注意しなければならないことが二点あります。
一点目は、読解部分の説明の際に〔注〕に書いてある言葉の意味をしっかりと取っておく必要があったということです。
二点目は、具体例を書く際に「それぞれ」という言葉があるため、「読むこと」の具体例と「眺めること」の具体例の両方を書かなければならなかったということです。問題4は「言葉」と「感情」の対立を説明したうえでそれに見合う具体例を書かなければならない作文問題でした。全体的に「読解」を重視するタイプの問題であることは例年とあまり変わりありませんが、比較的高度な読み取りと記述力が要求された問題でした。

適性検査Ⅱ

【大問1】
大問1は独自作成問題で「博物館の資料」を題材に「江戸時代の数の数え方や計算」についての問題が出題されました。昨年度に引き続き今年度も小問が3題出題されました。
問題1は積まれた俵の段数と個数を求め、求め方を説明させる問題でした。
問題2は円周がたがいにふれるように並べた円の、中心と中心を結んでできる六角形の外側の部分の面積の増え方を、決まりを考え説明させる問題でした。
問題3は正五角形の周りに大きさの異なる円を並べて、正五角形の内側にある円の面積を求め円B全体の面積と比較、または正五角形の内側にある円の太線の長さと正五角形の辺の長さの合計を比較して答える問題でした。選択して答える問題なので、より簡単に出せる問題を選ぶようにしないといけません。昨年度に比べると問題数は同じでしたが会話文の量は1ページ増えました。

【大問2】
大問2は、乗合バスに関する資料から、自分の考えを書く問題でした。解答はひとつに限られず、自分の考えが論理的に説明できているかが問われました。
問題1は、乗合バスの合計台数の移り変わりや乗合バスが1年間に実際に走行したきょりの移り変わりを、乗合バスに関する主な出来事と関連付けて自分の考えを書く問題でした。
問題2は、ノンステップバスの設計の工夫にはどのような役割が期待されているのか、自分の考えを書く問題でした。
問題3は、「バス優先」の車線や「公共車両優先システム」の課題について、資料をもとに自分の考えを書く問題でした。

【大問3】
大問3は、車の模型を動かす実験を通じて、さまざまな条件下での結果を考察する問題でした。会話文をよく読み論理的に考察する力が問われました。
問題1は、プロペラとモーターとかん電池を組み合わせた車の模型の重さについて、プロペラを回す前後の重さをそれぞれ計算する問題でした。
問題2は、モーターの重さやプロペラの長さの組み合わせによって、車の模型の速さがどのように変化するかを実験結果から考察する問題でした。
問題3は、ほを立てた車に角度を変えて風を当て、車の動きに関して考察する問題でした。

適性検査Ⅰ

〈文章・出典〉文章A 橘春香「銀杏堂」による
文章B 羽生善治「大局観」による

出題形式:2つの文章を読み、それぞれの文章に対して問題が2問ずつ(問題1から問題4)出題されるという形式は例年通りでした。昨年度は童話からの出題でしたが、今年度は物語が出題されました。作文の字数は2題とも180字以上200字以内で注意事項も昨年度と同じでしたが、作文問題で読解要素を書かなければならない問題が1題分減り、具体例を交えて自分の考えと行動を書く作文問題になりました。
内容:問題1と問題3はそれぞれ傍線部についての読解問題でした。どちらも不足している情報を明らかにしたり、書いてある情報の裏を取ったりすることで解答を作成することができたため、しっかりと訓練を積んだ生徒たちにとっては比較的易しい問題だったと思います。問題2はさらっと読むと読解要素がないように見えますが、登場人物の思いや生き方について読み取った内容が必要です。昨年度の問題をしっかり解いていれば、書き方で戸惑うことはないでしょう。問題4は傍線部分の読解は必要なく、「練習をするのが難しいときにどのように考え、行動するか」という自分の意見を、具体例を交えて説明する作文問題でした。文章の中で練習をすることが肯定的にとらえられていることをおさえていれば、それに沿って問いに正対して書くことである程度の得点を取ることは可能でしょう。読解部分の割合が減ったことで、全体的な難易度は昨年度よりも少し簡単になったということができます。ただし、読解問題でどれだけ取れたかが得点を大きく左右することは間違いありません。

適性検査Ⅱ

大問3題の構成でした。
大問1は独自作成問題で「運動会の応えん旗にかくマーク」を題材に「回転対称」についての問題が出題されました。例年小問は4問でしたが、今年度は3問になりました。
問題1は会話文中でいくつか引かれている下線部の条件を満たす図形を選択し、「何回対称」になるかを答える問題でした。
問題2は回転する角度を整数とし、回転対称な図形に「〇回対称な図形」と名前をつけたときに何種類の名前がつけられるかを問う問題です。この際、やはり条件に合わないものは除かなければならないことに注意しましょう。
問題3は円弧を含む2つの図形からどちらかを選び、その図形の面積を求める問題でした。より簡単な方を選ぶようにしないといけません。昨年に比べると問題数や会話文の量も減り、解きやすい問題でした。

大問2の問題1は日本人の出国者数と、日本への外国人の入国者数の移り変わりを表すグラフからわかることを考察する問題でした。
問題2は外国人旅行者が増えている地域の具体的な取り組みを資料から考察する問題です。
問題3は案内図記号の役割を考察する問題で、昨年度と比べて解きやすい問題が多く易化しました。

大問3は「紙の性質」についての問題でした。
問題1が「和紙とその他の紙の吸った水の重さを比較」をする問題で、昨年度と同様に単量当たりの数字を求めて比較します。
問題2は「紙のせんいの向き」を実験結果から推察する問題です。実験結果をどのように判断すれば良いか会話文で説明されていました。
問題3は「のりを作成する最適な水の重さ」について考察する問題です。すでに行った実験の結果から、次に行う実験の結果の仮定を考えて、目的とする水の重さを考察します。いずれも実験結果を読みとる力を必要とする問題でした。

適性検査Ⅰ

文章・出典:
文章A 村岡花子「村岡花子童話集 たんぽぽの目」による
文章B 梅田悟司「『言葉にできる』は武器になる。」による

出題形式:2つの文章を読み、それぞれの文章に対して問題が2問ずつ(問題1から問題4)出題されるという形式は例年通りでした。ここ3年ほど文章Aでは物語文よりの随筆文が出題されていましたが、今年度は童話からの出題でした。作文の字数は2題とも180字以上200字以内となり、どちらも文章に関連する読解内容を書かなければなりませんでした。また、今年度はすべての問題で句読点などを行頭においてはならないという条件が加えられていることに注意しなければなりませんでした。
内容:問題1と問題3はそれぞれ傍線部についての読解問題でした。どちらも昨年のように指定語句や内容に関する条件はありませんでした。問題2は昨年同様、文章の内容をとらえ、体験を交えて書く作文問題でした。昨年の問題をしっかり解いていれば、書き方で戸惑うことはないでしょう。問題4は傍線部の内容から読み取れる筆者の主張をとらえて書く作文問題でしたが、「あなたが考える『○○って、△△だ。』という命名法を用いた具体例を挙げながら」という条件を読み落とさないように注意が必要です。全体的な難易度は昨年並みですが、読解の要素が昨年以上に強くなり、全体の約6割を占めています。そのため、読解問題を解く練習を徹底的に行ったかどうかで得点に大きな差が出ると思います。読解の練習を徹底的に行い、問いに正対して条件をしっかり守って書けたのであれば、合格ラインは取れるでしょう。

適性検査Ⅱ

大問3題の構成でした。
大問1は独自作成問題で「ゲーム」をテーマに小問4題が出題されました。
問題1は場合の数を求める問題でした。問題2はゲームのルールを正しく理解して作業をして解く問題です。問題3も同様にルールを用いて試行する問題ですが、得点が奇数になる1通りについて、それがどういうときなのかを考察して解く問題です。問題4は3つの条件を満たすように点Dが動くときの全体の移動距離を求める問題でした。昨年までは日常にある題材に即しながら各小問が独立した出題でしたが、今年は2つのゲームについて4つの小問を答えるという形式でした。未知の題材についてルールや会話文を読みながら手を動かして解くという点で、適性検査の原点に回帰したような出題でした。
大問2は「日本のくらしと変化」をテーマにした問題で、昨年同様、小問は3問でした。
問題1は距離の違いによる高さの見え方の変化について考察する問題、問題2は東海道新幹線の路線の沿線の都市と人口、または工業地帯の関係性について考察する問題、問題3は割合の計算を行い、その計算結果をグラフに表し、その結果の数値を資料と関連させて考察する問題でした。昨年と同様に基本的な問題ですので、資料を読み取って考察する力と割合計算のスピードと正確性が重要なカギとなりました。¥
大問3は「花粉や黄砂の測定結果」について考察する問題です。
問題1が「花粉を顕微鏡で観察し、花粉の数を求める」問題で、単位量当たりの計算を必要とします。問題2は黄砂を観測する装置の仕組みの説明から、計測結果を考察する問題です。初めて知る観測装置なので、会話文や図を読み仕組みを理解する力が必要です。問題3は「日本で黄砂が観測される原因と気象状況の関連」について考察し記述する問題です。身近な話題ですが、問題文や資料から観測の方法や分析の仕方を読み取る力が必要な問題でした。

適性検査Ⅰ

出典:
文章A 水野敬也『夢をかなえるゾウ』による
文章B 外山滋比古『消えるコトバ・消えないコトバ』による

出題形式:2つの文章を読み、それぞれの文章に対して問題が2問ずつ(問題1から問題4)出題されるという形式は例年通りでした。作文の字数は大問1が昨年と同様160字以上180字以内で、大問2が180字以上200字以内でした。昨年のように比喩を用いてタイトルをつけるような問題は出題されていませんが、小問3題に読み飛ばしてはならない条件がつけられていました。
内容:問題1と問題3はそれぞれ傍線部の理由を答える読解問題でした。問題1では「楽」「期待」という2つの指定語句を使うこと、問題3では「本文で挙げられている例を出しながら」という条件に注意を払わねばなりませんでした。問題2は昨年同様、文章の内容をとらえ、体験を交えて書く作文問題でした。昨年の問題をしっかり解いていれば、書き方で戸惑うことはないと思います。問題4は傍線部の内容に即して自分の意見を書く作文問題でしたが、「具体的な取り組みや手立てを挙げながら」という条件を読み落とさないように注意が必要です。全体的な難易度は例年と同じかやや易化した印象ですが、読解の要素がより強くなったため、読解問題を解く練習を徹底的に行ったかどうかで得点に大きな差が出ると思います。読解の練習を徹底的に行い、問いに正対して条件をしっかり守って書けたのであれば、7割以上は取れるでしょう。

適性検査Ⅱ

大問3題の構成でした。大問1は独自作成問題で「スポーツ大会」をテーマに小問4題が出題されました。〔問題1〕はメガホンをいくつずつ配るのかを変えると過不足が変わることから人数とメガホンの総数を考える問題、〔問題2〕は音符を題材に、拍を考えて空欄に入る音符の組み合わせを考える問題でした。〔問題3〕〔問題4は〕総当たり戦を題材とした問題で、〔問題3〕は勝ち点と順位から勝敗の組み合わせを決める問題、〔問題4〕は会話文の条件に合うように総当たり戦のチーム数と試合数を考える問題でした。共同作成問題が導入されてからの問題と比較すると易化したと思われます。
大問2は「野菜の栽培と流通」をテーマにした問題でした。昨年同様、小問は3題でしたが、「資料を分析・考察し、記述する問題」と「割合を計算する問題」が出題され、一昨年と似た傾向でした。資料を読み取って考察する力と割合計算のスピードと正確性が勝負の鍵でした。
大問3は「時間を計ることを題材にした理科実験」を考察する問題です。問題1が「太陽、ふり子、ろうそく」のいずれかの法則から時間が計れる理由を記述する問題で、教科書範囲の知識が必要とされました。問題2は実験結果を考察し、比例の関係を導く問題でした。問題3は対照実験について考察する問題でした。いずれも、決して目新しいものではなく、あわてずに考えれば正解にたどり着ける問題です。

適性検査Ⅰ

出典:
文章A 重松清「セカンド・ライン エッセイ百連発!」による
文章B 瀬戸賢一「日本語のレトリック」による
出題形式:2つの文章を読み、それぞれの文章に対して問題が2問ずつ(問題1から問題4)出題されるという形式は例年通りでした。しかし、今まで200字だった作文が160字以上180字以内という字数に変化しました。
内容:文章Aは、昨年と同様、随筆文でした。筆者の体験をもとに「物事を見るときにはさまざまな角度がある」ということが述べられた文章です。問題1は傍線部の理由を説明する問題、問題2は筆者の言いたいことを、自分の体験を交えながら「角度」「他者」という言葉を用いて説明する問題でした。今年も、過去の三鷹中の問題では見たことがないパターンの問題が出題されました。文章Bは、「隠喩」について述べられた説明文です。問題3は傍線部の「隠喩」について説明する問題、問題4は昨年と同様に、題名を作り、その理由を自身の体験を交えて説明するというタイプの問題です。文章・設問の難易度は昨年とあまり変わりませんが、200字よりさらに短い180字という字数にまとめきれたかがポイントです。

適性検査Ⅱ

大問3題の構成でした。大問1は独自作成問題で「生活習慣の調べ学習」をテーマに小問4題が出題されました。〔問題1〕は組み合わせを考える問題、〔問題2〕は平均を題材とした問題でした。〔問題3〕〔問題4〕は長方形の掲示板の枠に縦横の辺で等間隔になるように花かざりをつける問題でした。〔問題1〕は三鷹中では頻出の問題ですが、昨年の単に面積を出せばよい問題と比較すると組み合わせを書き出して考えなければいけない分、差がついたと予想されます。また、〔問題2〕〔問題3〕は必ず正解したい問題です。〔問題4〕は植木算の考え方や整数の扱いに慣れている等、算数が得意か否かで差がついた1問だったと予想されます。
大問2は「資料の読み取り」の問題でした。小問は3つあり、そのうちの1つが「歴史」をテーマとした問題だったため、驚いた受検生も多かったのではないでしょうか。今回の大問2では、3つの小問を通して「資料内容を正確に読み取る」「関連のある事柄を探す」「条件に沿って考える」という力が試されています。取り組む問題を選び、解きやすい問題を確実に得点することが高得点のカギとなりました。
大問3は「アゲハチョウの幼虫のからだのしくみと蛹化する環境についての実験」を考察するものです。資料から幼虫の体のしくみを考える問題が1問、実験結果から結論を導き説明する問題が2問の、小問3題で構成されています。

適性検査Ⅰ

出典:
文章A 俵万智「『ぞうさん』と私」より
文章B 山崎充哲「タマゾン川 多摩川でいのちを考える」より
出題形式:例年と同じく2つの文章を読む問題形式です。問題数も例年と同じく、それぞれの文章に対して問題1と問題2がある形式で、問題2は三鷹中特有の二百字作文です。
内容:文章Aは、三鷹中の定番であった物語文ではなく、随筆文でした。歌人である作者が、詩人の作品について述べた文章です。問題1は傍線部の理由を説明する問題で、比較的書きやすい問題でした。問題2の作文は、「題名を作り」作文を書くという形式になっており、今まで見られないパターンのものでした。文章Bは、多摩川の魚について述べた説明文です。問題1は文章中の空らんを補充する問題形式で、今までにないパターンですが、確実に正解したい問題です。問題2は環境問題についての作文ですが、数多く作文を書いてきた生徒にとっては書きやすいテーマだったでしょう。「段落を設けない、1ます目から書く」という条件の見落としにも注意しなければなりません。

適性検査Ⅱ

大問3題の構成でした。大問1は「図形の折り返し」と「定規で測りとることのできる長さ」に関する問題でした。前者は適性検査で頻出の題材で、受検生は得点しやすかったはずです。後者についても、落ち着いて一つひとつ調べていけば得点できる問題ですが、〔問題4〕の説明がやや難しく得点差のつく問題でした。
大問2は会話文形式で、図が5つに表が1つ小問3つで5ページというボリュームのある問題構成でした。話題自体は東京オリンピックをテーマに展開しますが、各小問はそれぞれ人口推移と世代別割合、物価の変化、地図の読み方に関する問題でした。どの問題も資料を読み取れば得点できる問題でしたが、計算・解答では条件があり、それぞれの設問で細かい条件が多く提示されているので、条件を丁寧に確認して答える必要があります。
大問3は「発泡スチロールでできた立体を水中に沈め浮力により水面上へ打ち出す実験」について考察するものです。小問3題で構成されています。

作文 適性検査Ⅰ

大問数は4題と昨年と同じで、小問数は9題と昨年より減っていましたが、答える分量としてはあまり変化がないと言えるでしょう。出題パターンはほぼ昨年と同じように適性検査の問題としての定番である理科と社会の資料を読み取る問題と算数の図形の問題が多くありました。理科の問題である大問1の問題2は、平成22年度の大問4の問題2、算数の問題の大問4は平成22年度の大問3や平成23年度の大問4と大きなくくりでみると類似していると言えます。時間配分を間違えて全問解答することができなかった受検生もいたでしょうが、過去問を見てきちんと対策してきた受検生は対応できたと思いますので、今年も昨年度と同じような高い合格ラインになると予想されます。
大問1は理科的なテーマは「魚の卵」で、魚をテーマにした問題は平成22年度、平成25年度と過去に2回使われています。大問2は「横長の長方形を折って五角形を作る」問題です。大問3は社会の「綿花や絹織物の生産と輸出入」に関する問題でしたが、明治・大正期に限定した資料から読み取る問題になっていました。資料をよく見てしっかり考えれば正解にたどり着けたでしょう。大問4は算数の問題でしたが、地図記号を正しく覚えていなければならない社会的な要素も含まれています。

適性検査Ⅱ

2014年度の問題は、大問2題構成、総字数という点では大きな変化はありません。ただし、従来とは大きく異なる点もありました。
1つ目は、大問1の問題1が、2013年度までと同様に心情に関する問題ではありましたが、自分でまとめる形式ではなく、「抜き出し」の形式に変化していました。
2つ目は、大問1、2それぞれの問題2が、「最初のます目から書き始める」「改行せずに書く」という形式に変化していました。ただし、体験を交えて、自分の考えを書くという点では従来通りです。
設問の形式に関しては大きな変化が見られましたが、設問の内容に関しては比較的取り組みやすく、大問1、2それぞれの問題2については、書きやすいテーマだったと思います。したがって高得点勝負が予想されます。

ボーダーライン

問題の難易度は平年並であり、昨年の合格ラインが50%強であったことから、同程度からそれよりも高く55%~60%となると考えられます。

適性検査Ⅰ(総合問題)

昨年の小問8題から小問10題と増えましたが、資料内の数値を用いた割合の計算や算数のパズル的な問題など、出題のされ方も含めて適性検査としては基本的な問題が中心となっています。そのため、しっかり準備をしていた人には難易度はそれほど高く感じず、昨年と同様に合格ラインは高くなるのではないかと思います。
大問1は理科的なテーマ(アユの生態)で、大問3では社会的なテーマ(海外留学)ですが、どちらも割合と資料からの読み取りの問題でした。
大問2は「表示が変わる不思議なボール」を使った算数パズルの問題です。ルールを理解し、本文の操作手順例を参考にすれば、あまり複雑な考え方をせずに正解できます。ここでどれだけ時間を使ったかがポイントになるでしょう。
大問4は昨年が直方体を並べる問題で、今年は長方形を並べる問題でした。倍数や約数を用いた考え方ができれば時間はかからない問題です。

適性検査Ⅱ(作文)

課題文の小説や説明文のレベルはさほど変わりませんが、心情読解やテーマ要約の問題が易しくなったため、全体としては点が取り易くなったと言えます。
[1]は、かんのゆうこ「とびらの向こうに」からの出典。今年もやはり小説からの出題でした。都立中ではあまり他に例がないですが、三鷹中は開校以来、一貫して小説が出題されています。
従来は、主人公の心理の読解・記述問題に苦戦する生徒が多かったのですが、今年度は「主人公が何におどろいたのか」という国語の読解問題になっており、比較的取り組みやすかったといえます。
[2]は田中優子「グローバリゼーションの中の江戸」より。江戸時代の着物の流通・利用方法からみる資源の問題についての話です。昨年と同様、説明文のテーマ要約と作文でしたが、こちらもテーマ要約が国語の問題のようになっています。従来の「〇〇について筆者はどう考えているか」という形ではなく、「日本の着物の変化」について本文の内容をまとめるという形式になっており、これも解き易かったのではないでしょうか。
作文についてはさほど変化はありません。したがってかなりの高得点勝負になると予想されます。

ボーダーライン

昨年までの結果をふまえてか、今年度の三鷹中の適性検査は全体的に易しくなったようです。昨年は全体の合格ラインが50%程度でしたが、今年は60%程度の合格ラインと考えられます。

適性検査Ⅰ

大問4題の構成。大問1はチョコレートを題材とした資料分析・必要な条件の読み取りの問題、大問2はグループ分け・ゲームを題材とした問題の条件読み取りの問題、大問3は資料の読み取りの問題、大問4は宅配便や直方体を題材とし、数理的な考察力を問う問題でした。例年通り問題数が多く、時間配分が大切ですが、難易度は平準的なものが多く、しっかりと対策してきた受検生であれば、十分対応できるものです。
大問1の問題1の割合、大問3の資料の読み取りなど、都立中の定番ともいえる問題が出題されており、解きなれている受検生は得点源となったはずです。大問3は三鷹中の出題方針である、「資料の内容を正しく分析し、論理的に思考し、問題解決していく力」(ホームページより)を問われた問題でした。資料の分析をした後に、「どうしてそのような変化が起こるのだろう」ということを、日々の生活をもとに分かりやすく記述することが大切です。

適性検査Ⅱ

2011年度に実施された適性検査の出題の形式をそのまま踏襲した問題形式で、2012年度も他の都立中と異なり、小説の心情読解が出題されています。大問1の【問題1】だけが難解で、大問2の説明文についてはあまり難しくなく、平易な問題と言ってよいでしょう。また、それぞれの字数が他の都立中の作文問題(通常は400字前後)と異なり、比較的短い(最高で200字)ので、短い文章の中で要領よくまとめなければなりません。また、三鷹中の解答用紙の縦の字数は25マスなので、三鷹中専用の解答用紙で訓練しなければなりません。
大問1の【問題1】は登場人物の心情を問う問題です。昨年の問題と同じ形式で、字数も同じ(80字以上100字以内)でした。【問題2】は「学校生活を充実させるためには、どのようなことに努めたいか」ということについて自分の体験とそこから学んだことについて述べるものです。字数は昨年と同じ(180字から200字以内)でした。
大問2は昨年と同様小問が二つ、テーマ要約問題とそれに関する200字作文です。【問題1】は文章の内容の読み取りであり、【問題2】では本文の主旨をきちんと読み取った上で、それに沿った経験を書く必要があり、文章構成力や表現力が要求されていることは間違いありません。ただし、設問内容やレベルは平易なものですので、書きにくいということはないでしょう。