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さくら雑考
コメント数:0 投稿日:2025/04/11 21:10:11
こんにちは、ena個別河辺の西村です。
今週は入学式や始業式も行われ、まさに春爛漫といった季節になりました。
そこで今回は【さくら】にスポットを当ててお話したいと思います。
「さくら」
春の「桜」(と秋の「菊」)は日本の国花※とも言われています。
(※法律で指定されているわけではありませんが、広く日本国民に愛されている花ということでしょう)
「さくら」の語源
「さくら」の名前の由来とされる説は次の二つが有力です。
◆【木花咲耶姫(このはなさくやひめ)】
→日本神話では、桜の花のように美しい絶世の美女、火の中で出産したことから安産の神、火の神とされます。
この神様の「咲耶(さくや)」が転じて「さくら」になった説です。
◆【田の神である「サ」と、神の御座である「クラ」が結びついた】
→古語で『さ』は耕作を意味し、『さ』は山の神であり、春になると里に降りてきて田の神・稲霊となる。
つまり、桜とは、『さ』の神が降りる坐=鞍(くら)の意から『さ・くら』となったというものです。
稲の苗が早苗=さ・なえなのも、苗を植える女性が早乙女=さ・おとめなのも、田の神・稲霊=『サ神』から来ている。
旧暦五月の頃は稲作にいそしむ月であるから『サ月』と名づけられたというものです。
「さくら」が愛される理由は?
その花の美しさが理由と言えばそうですが、散見されるものは大方次にあげるものが主流のようです。
桜が春の到来を象徴する花であること。
長く厳しい「冬」が終わり、稲作の季節を教えてくれる花であったこと。
米を主食とする日本人にとって、田植えが始まる時期を知ることはとても重要であったことは想像に難くありませんね。
そんな“稲作の一年”を知らせてくれる「さくら」は馴染み深い花であったこと。
「儚く美しい花」であること。
桜は満開になったあと、長くても2週間程度で桜は散ってしまいます。
日本人の持つ「生命の儚さ」という美学から言うと、満開の桜の美しさが短期間で散って終わる「儚い花」であること。
こちらは多分に感情的なものですが、桜が好きな理由のひとつとして挙げられるでしょう。
「さくら」にまつわる言葉
私たち日本人にとって「さくら」は春を知らせてくれ、更にその咲き方にもいろんな想いを馳せていることが分かるのではないでしょうか。
そこで「さくら」にまつわる言葉をいくつか。
◇桜嵐(おうらん):強い風に乗って、一斉に桜の花が舞う様子
◇桜霧(さくらぎり):桜が咲く時期に立ち込める霧が、幻想的な雰囲気を生むこと
◇桜曇り:桜が咲く時期の、ほのかな暖かさを感じるくもり
◇花霞(はながすみ):満開の桜の花が、遠目には霞がかかったように白く見えること
◇桜雨(さくらあめ):桜が咲く頃に降る雨のこと
◇花筏 (はないかだ):桜の花びらが水面に散って流れていく様を、筏に見立てた。
◇花明り(はなあかり):咲き誇る桜のまわりは暗闇でも明るく感じられる様子。
「さくら」と言えば
私たちが「さくら」と言えば「ソメイヨシノ」を思い浮かべることが多いかと思いますが、
この品種は、江戸時代末期に江戸の染井村(現・東京都豊島区)の植木屋が「吉野桜」として売り出したと伝えられています。
1900年に「染井吉野」と名付けられました。オオシマザクラとエドヒガンの雑種と推定され、その起源については複数の説があり、明らかになっていません。
また接ぎ木によって増やされたものであり、日本各地にあるソメイヨシノはすべて、まったく同じ遺伝子を持つクローンなのですね。
世の中に 絶えて桜のなかりせば
春の心は のどけからまし
在原業平(古今和歌集・伊勢物語)
現代語訳:この世の中に、全く桜というものがなかったなら、
春を過ごす人の心はどんなにのどかであることでしょう。