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小中学部

国語②

投稿日: 2024.06.5 5:17 pm

講師の橋口です。

国語の学習法の続きです。

今回は知識です。

文章の書き手は、文中に使用している語彙や知識を読む側が「知っている」という前提で書いています。

つまり、「これは言わなくてもわかるよね」、「ここまでは当然知っているよね」という暗黙の了解の上で書かれているのです。

文章を読み、理解するためには書き手が要求している語彙や知識を読む側が文章の内容に応じてある程度身につけている必要があるのです。

小6作文のテキストを例にあげてみます。

・P11からの論説文➂では「元寇」が神風神話を生み出し、それが戦前・戦時中の日本教育において当時の子どもたちに「神国日本」という信仰を浸透させていたことが書かれています。歴史上の出来事や時代背景の知識なしに理解することは困難です。

学校でも、enaでも未習の内容です。

・P20からの説明文⑥では日本の川の特徴を「滝」のようなあばれ川と説明しており(お雇い外国人のデレーケのことば『これは川ではなく滝だ』が引用されています)、日本人があばれ川とどのようにつきあってきたかが述べられています。具体例として武田信玄のかすみ堤をもちいた治水があげられています。武田信玄が山梨県(甲斐の国)を本拠地にしていたことは事前に知っていて当然という書かれかたです。そして、はんらん原のこと、遊水池(地)、(※この語は直接使われていませんが、『あふれた水がそこにたまってあそんでいます』という記述から筆者は当然意識していたはずです)が説明されています。かすみ堤のしくみを知っていて、活字情報を頭の中で見える化できる生徒を対象に書かれています。また、甲府盆地といえば、扇状地の果樹栽培で有名ですね、扇状地を流れる川は普段は伏流しており、大雨の時は洪水をおこしやすいこと、そして、富士川は日本三大急流に数えられていることなどの知識を持つ生徒とそうでない生徒の理解度の差は大きなものとなります。

あれもこれも知っているよ、という生徒は読んでいて楽しい文章なのですが…

・P5からの説明文②では日本文化の特徴を「木の文化」として紹介しています。そして、その背景には仏教的無常観が存在していると書かれています。

仏教的無常観!驚かれた方もいらっしゃるでしょうが、実はよく扱われるテーマの一つなのです。西洋と日本の比較文化論が出題されたとき、それぞれの自然条件、自然観の違いと関連させて整理しておく必要があります。

・P9からの説明文➂では六曜を用いた暦のこと、P24からの説明文⑦ではカのメスが二酸化炭素を手掛かりに生物の存在をつきとめていること、P31からの説明文⑨では植物の花の構造が花粉を媒介するものにより異なることが説明されています。

さて、これらの知識について、該当の文章を読んだときに初めて知った(見た)という生徒と、事前にある程度知っていた生徒では、読解の速度と深度が明らかに違います。

しかしながら、それらの知識を熟知している、完全に理解しているというレベルが絶対に必要なわけではありません。少なくとも「見たことがある」、「聞いたことがある」という経験があれば、文章内容の理解度を高めることが可能です。文章を読んだ時、未知の内容が含まれていたならその時こそ知識を充実させるチャンスです。知的好奇心を満たすことが自らの成長につながります。

前回、思考の道具としての言葉について書きましたが、それに加えて知識もより良く思考するために必要不可欠な要素です。

思考は創造ではありません。人間は無から有を創り出すことはできません。仮説を立てて、それを検証していく、すなわち、思考の過程においては、私たちは語彙力に加えて既知の内容「知識」を判断材料としています。思考は既知のこと「知識」があって初めて可能なのです。自らが蓄積してきた「知識」こそが個々の論理的思考力を支えているのです。

やや難しい言い回しになってしまいました。

語彙と同様、知らないことに敏感になって、自ら学ぶ・調べることを心掛けてください。語彙の充実の仕方とは異なり、スマホやタブレットなどの便利なツールをどんどん使ってください。画像検索をして、視覚情報を得ることは大変有効です。先に触れた活字情報の視覚化です。そして、「へぇー、そうなんだ。面白いな。」という経験を蓄積していきましょう。

国語という科目が単体で存在しているのではありません。国語は総合力と言われます。ですから、他の科目で習っていることも大切にしていきましょう。そして、知っていることをどんどん増やしていくことが大切です。

読書量の少ない人は、授業で扱った文章からできるだけ多く学ぶことを心掛けてください。

要するに、知らないからわからないのですから、知ることができればわかるようになるということです。

機会をとらえて積極的に調べる姿勢を身につけていきましょう。

 

次回につづく…

 

 

昨日の釣り

英語ではStar Fish

メルヘンチックな名前がついていますね。

生態もたいへん面白いですよ。興味を持った人は調べてみましょう!

でも、実物はかわいくない(裏側は特に…)

それにしても、

ヒトデが3匹…

うーん

橋口です。

 

 

 

 

 

 

 

 

“国語②”へのコメント

  1. きのこの山 says:

    ヒトデって何で口が真ん中にあるのでしょうか。

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