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ena塩浜

小中学部

10.30 日刊ena塩浜 -毎年触れる-

投稿日: 2024.10.31 9:01 pm

こんにちは、今年のサンマは細くて悲しいena塩浜の青木です。

 

10月30日、水曜日。

翌日に〆の仕事が多く、

夜はそちらに注力したため、更新が遅くなりました。

昨日お越しくださった方がいらっしゃいましたら、申し訳ありません。

 

 

元々それほど興味がなかった対象に、

それでも接触する回数が増えていくと、興味を持つようになることを単純接触効果というそうで、

塾教師で言うと、というか、国語教師で言うと、

毎年扱っている文章には、最初そこまで特別な感慨を持っていなかったものにも、なんだかやたらと魅力を感じるようになります。

塾教師は、大体キラーコンテンツとしての授業を持っているもので、

国語教師の場合は、「この文章の問題なら、だれよりも素晴らしい授業をできる」というものがあったりします。

だいたい、その手のものは早い時期から必殺技化するもので、私も何本かそういうものを持っているのですが、

これらとは違って、

もっと義務的に扱うような感覚の教材、都立高校の過去問なんかで、

先の単純接触効果を実感することが多いです。

当初はめちゃめちゃ印象深かったわけではないのだけれど、

毎年毎年それを扱って授業を行う、ということを積み重ねていく中で、いつしか大切な教材の一つになる。

 

生徒たちにとっては、授業だけでなく復習などを含めれば複数回はその文章に触れるとは言え、

根本的には入試本番同様に、一つ一つの教材は一期一会に近い面があります。

殊に、国語においては。

繰り返す触れ合いの中でこそ見えてくる価値もあれば、

初めての接触だからこそ、鮮烈に印象を残す作品もあります。

商業的な意味で大きな成功を収める作品は、多くが後者の読み方で魅力あふれるもの。

物語から大きなカタルシスが得られるときには、そこに至るまでの過程が大事で、

部分的な抜粋でしかありえない入試の文章の多くは、その本領を発揮させられることはありません。

そことはずれた、小さな山場が引用されたり、

あるいはそういった即効性の高い作品ではなく、ゆるやかな作品が引用されたり。

読書を好きになる、ということと、入試問題の国語の勉強は、

そもそもが志向性が違いすぎて、両立しない方が普通なのだな、と思いました。

入試の国語は、本を好きにさせるものではない、と言ってしまえばそれだけですが。

それでも、欲を言えば、受験の後も本を読むような子たちにしたいと思うのです。

◆今日の一問:小学校に定期テストがないのはなぜか。

 

ena塩浜 青木

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