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小中学部

6.12 日刊ena塩浜 -安定社会における言語の細分化-

投稿日: 2024.06.12 10:11 pm

こんにちは、ena塩浜の青木です。虫が苦手です。

 

 

本日扱った国語の文章が、大変興味深かったので、そのお話を。

 

世の中が豊かになり、それが20年、30年、40年と続いていくと、

人のつかう言葉が切れ切れになる傾向があるのだそうです。

平穏な社会になると、人々の生活は一様のものに染まっていく、

そうすると、ものの考え方も人と自分は同じだろう、と思い込み、

十分に言葉を尽くさなくても、意思が通じると思い込む。

そうすると、どんどん言葉は細切れになり、早口になっていく。

 

これ、面白いことに、出典の書籍は2015年出版なんです。ほぼ10年前。

でも、この内容は、まさに今の世相に当てはまりますよね。

あるいは、10年前にはすでにその傾向の真っ只中だったか。

言葉は世界なので、言葉が速いと世界の有様も速い。

エンタメなんかもどんどん短時間志向の刹那的なものになり

その消費スピードも速くなって、次から次へと流行が生まれては消える。

形式的な多様性が謳われて、裏返しに他者と異なることへの蔑視と恐怖が溢れる。

 

本当の意味での多様性が受け入れられる社会になるのだとすれば、

言葉、思考の一様化の原因となる、他者性をふまえない考え方も消えていき、

言葉の細切れ現象も収まりうるのでしょうが、

現状の都合がいい人が都合がいいように扱っているだけの多様化のうちは、

加速度はそのままとなりそうです。もしくは、もっと大きくなるのでしょうか。

 

平穏な社会、の言葉の範疇にどこまで日本が納まり続けられるかはわかりませんが、

社会の根底となる人と人とのつながり、それを広く紡げるだけの言葉を扱える子どもたちであってほしいと思います。

問題を解けるように、だけでなく、

正しく文章を読めて、受け止めて、考えられるような子たちとなるように、国語を教えたいです。

 

◆今日の一問:斜字体「エンタメなんかもどんどん短時間志向の刹那的なものになり」とあるが、この例に当たるものを考え、3つ挙げなさい。

 

ena塩浜 青木

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