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都立中入試概況

ena小学部

※以下は2021年度ena都立中ハンドブックに基づく情報です。
  2022年度版都立中ハンドブックが刊行されましたら、情報の更新を行います。

適性検査とは・私立中入試との違い

都立中などの公立中高一貫校においては、いわゆる「入学試験」は行われません。中高一貫校で過ごす前期3年間は、義務教育の期間に該当します。義務教育期間の指導を行う公共機関ですから、「あなたは学力が不足しているから、入学を許可しません」とすることを認められていないためです。このため、公立中高一貫校では、「学力検査」ではなく、「適性検査」を行い、6年間の一貫教育に「適性」があるかどうかをみて、該当する受検生に入学をしてもらう、という形式を取っています。
「適性検査」というと、就職試験や運転免許を取得する際など、様々な場で必要なデータを取得するために多様な形式のものが行われています。しかし、公立中高一貫校においては、「小学校6年間の学習内容」を基にした、思考力、判断力、表現力を問われる出題内容となっています。いわゆる性格診断や、気質を確認するような問題などは出題されず、実質的に学力を問われる問題が出題されます。
結局学力が問われるのであれば、私立中の入学試験と変わらないのか。そこには、大きな違いが2点あります。一つは、一般的に算国理社の4教科、あるいは算国の2教科で行われる私立中の入学試験に対し、公立中高一貫校の適性検査では学校の授業のような科目立てがないことです。多くの場合、科目の垣根を越え、教科複合型の出題となっています。公立中高一貫校適性検査の黎明期には、「イチゴの断面図を書きなさい」や、「4分音符の音の長さを1としたとき、次の音符の音の長さを数字で表現しなさい」など、家庭科や音楽といった実技教科の内容まで含んだ出題がなされたこともありました。そこから年々出題内容は洗練されていき、現在では算国理社の4教科を中心としたものに落ち着いてきています。特に、都立中においては、大問ごとに明確に教科が切り分けられ、初期の問題よりも対策を行いやすくなってきていると言えます。もう一つは、先ほどの「入学試験」を行わないことと同様に、義務教育を行う機関であるがゆえに、明確に「小学校6年間の学習内容」の範囲内からしか出題をしてはならない、という制約です。私立中の入学試験に向けての勉強においては、小学校の学習では触れられない内容を学んでいくことが必要な場合があります。例えば算数においての特殊算、あるいは理科や社会においての小学校の授業では触れることのない用語の暗記などです。こういった「小学校6年間の学習内容+α」が求められる私立中の入試に対する得点力を高めていくには、多くの場合、塾などで「+α」を学んでいく必要があり、かつ、より上位の学校を目指そうとすればするほど、より早い時期からそういった勉強をスタートしなければなりませんでした。このような過熱した受験競争とは異なる文脈で入学者を選ぶ、という観点から、公立中高一貫校の適性検査はスタートしています。問題を解くうえで「+α」は求められず、あくまで「小学校6年間の学習内容」を身に着けていれば、あとはそれらを複合して考える「思考力、判断力、表現力」の勝負となるのが、公立中高一貫校の適性検査なのです。

都立中の適性検査・私立中の適性検査

都立中の適性検査は、学校ごとに適性検査Ⅰ、適性検査Ⅱの二つ、ないしは適性検査Ⅲを含む三つの検査となっています。適性検査Ⅰは文章読解と作文という国語系、適性検査Ⅱは大問3題の検査であり、大問1は算数分野、大問2は社会分野、大問3は理科分野の出題となっています。適性検査Ⅲは大問2題の理系の問題であり、大問ごとに算数分野、理科分野のいずれを出題するかは、学校ごとに異なります。区立九段中等を除く都立中10校は問題を共同作成する仕組みを採用しており、この「共同作成問題」と「独自作成問題」の組み合わせにより、各校の適性検査が作られます。
現在の都立中の適性検査の問題は、他の道府県の適性検査の問題と比べても、質が高く、問題の作られ方に独特の文化があります。また、東京都には全国の中で最も多くの私立中も存在していますが、これらの学校の中には入学試験の問題として適性検査を実施する学校も大変多くなっています。そういった学校の多くはこの独特な都立中の適性検査の問題を参考に作られており、都立中を第一志望とし、適性検査に向けた勉強をしている受検生が、第二志望、第三志望として私立中を受験することもできるようになってきています。

適性検査型(総合型・思考力型など)入試を実施した学校

 

年度 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
私立中学校 120校 136校 147校 149校 152校
応募者数 約8,000名 約12,000名 約12,000名 約13,000名 約14,500名

首都圏私立中学校約300校

報告書点・適性検査の配点比率

都立中一般枠の入学者決定は、小学校の成績(報告書点)と例年2月3日に行われる適性検査の得点の総合点で決められます。報告書点は小5と小6(九段中等は小4・小5・小6)の9科目の成績を点数化して算出されます。これは小学校で期ごとに配布される通知表(あゆみ)がそのまま適用されるのではなく、学年教科ごとに三段階の点数を小学校の先生に改めてつけてもらいます。報告書は密封された状態で都立中へ提出をしますので、受検生自身や保護者の方は、これが何点だったのかを知ることはできません。報告書上の数値は、さらに学校ごとの計算式によって点数が算出され、適性検査との合計点で合否が決まります。報告書点と適性検査の配点比率は、以下の資料(報告書点と適性検査の配点比率)をご参照ください。

報告書点と適性検査の配点比率

報告書点と適性検査の得点比率

2021年度入試 適性検査の実施概要
学校名 適性検査Ⅰ 適性検査Ⅱ 適性検査Ⅲ
作文 大問1(算数) 大問2(社会) 大問3(理科) 理系
立川国際 独自 共同 共同 共同
南多摩 独自
三鷹 独自 独自 共同 共同
桜修館 独自 独自
白鷗 独自 共同 独自
大泉 共同 共同 共同 共同 独自
富士 独自
両国 独自
小石川 独自 独自
武蔵 独自 独自

※区立九段中等は全て独自作成問題です。

都立中の沿革と受検倍率推移

都立中は2005年(平成17年)の白鷗高附属中学を皮切りに順次開校し、現在では区立九段中等を含めて11校存在します。都立中には中等教育学校型と併設型の二種類が存在しますが、いずれの学校も、既存の都立高校を母体とし、その下に中学校を附帯させることにより開校しています。学費も受検料も安価であり、適性検査の問題の性質もあり、開校当初はほとんどの都立中が爆発的な人気を見せ、倍率は2桁に上るほどでした。
 また、以前は適性検査の問題自体が学校側においても受検生側においても未知数な部分が大きく、正解できる問題が少なかったり、記述問題の得点の基準の曖昧さがあったりしたことにより、特に対策をしていない「とりあえず」の受検層が合格を勝ち取っていくこともありました。しかし、年々適性検査の出題方法や出題内容が洗練・収れんしていき、それにより適性検査への対策を効果的に行うことができるようになるにつれ、本気で都立中の合格を望んでいる、十分に準備を積んだ受検生たちが合格者の大半となっていきました。それに応じて「とりあえず」の受検層は年々減少し続けてきました。また、同時にそういった受検層は前年の各都立中の大学進学実績に応じて志望校を決定することが多く、大学進学実績で受検者の分布が決まり、年度ごとの各校の受検難度・受検倍率の変動が大きい、という傾向がありました。この傾向も年々弱まり、現在では大学進学実績と受検倍率の相関関係は以前よりもずいぶん小さくなりました。最も遅いタイミングに開校した4校でもすでに開校から10年を越え、それぞれの学校の指導の様子や通っている生徒たちの評判も広がり、大学合格実績などの結果としての数値だけでなく、学校の中身を見て志望校が決定されることが多くなっています。
 それでも都立中全体の倍率は私立中入試や高校入試などと比べて著しく高い数値であること、反面、そういった附属校のある都立高校では倍率が低くなっていた現状から、2021年度には武蔵高附属中と富士高附属中、2022年度には両国高附属中と大泉高附属中、2023年度には白鷗高附属中が高校募集を停止することになりました。先行した武蔵高附属中と富士高附属中ではその分中学募集の枠が1クラス分拡大されたことにより倍率が大きく低下しました。その他の各校も同様に中学募集の枠の拡大が予想され、都立中全体の倍率がさらに緩和され、以前よりも勝ちを狙いやすい勝負になると考えられます。

都立中受検状況
(帰国・特別・九段中等区内枠除く)

都立中受検状況(帰国・特別・九段中等区内枠除く)

都立中応募倍率推移
(帰国・特別・九段中等区内枠除く)

都立中応募倍率推移(帰国・特別・九段中等区内枠除く)

都立中の大学進学実績

都立中は小石川中・武蔵高附属中を筆頭に、難関国公立大学への合格実績において大きな存在感を示しています。都立高校には、都立中と同じく様々な学習指導上の特権を与えられている進学指導重点校があり、日比谷高校、西高校をはじめとして以前からの名門の高校が名を連ねます。それらは大学進学実績において輝かしい実績を誇りますが、都立中もそれに引けを取らない実績となっています。上項にもある通り、2021年度から2023年度の間に全都立中が併設型から中等教育学校型へ移行し、中学募集のみとなるため、同学年当たりの学習状況が統一されることで、これらの学校での後期3年間の指導がこれまでよりもさらに効率化され、今後の大学進学実績において、より飛躍することが期待されます。

2021年度都立中高 難関4大学・国公立医学部合格者数

※2021年5月19日時点

学校名 卒業生数 東大 京大 東工大 一橋大 国公立医学部 難関4大学+国公医合計 合格率
日比谷 309 63 10 11 19 37 140 45.3%
武蔵 (116) 9 4 9 10 5 37 (31.9%)
小石川 155 18 5 12 11 3 49 31.6%
西 316 20 21 13 17 14 85 26.9%
国立 315 19 10 14 22 7 72 22.9%
戸山 316 13 2 10 9 14 48 15.2%
青山 313 6 2 10 14 3 35 11.2%
大泉 (116) 6 0 6 1 0 13 (11.2%)
立川国際 149 4 3 2 5 0 14 9.4%
三鷹 150 3 1 2 4 3 13 8.7%
桜修館 150 4 2 3 2 2 13 8.7%
九段中等 151 4 0 2 2 5 13 8.6%
立川 307 2 5 8 8 3 26 8.5%
両国 (107) 1 0 3 3 1 8 (7.5%)
八王子東 314 3 1 9 5 2 20 6.4%
富士 (113) 1 0 3 2 1 7 (6.2%)
白鷗 (149) 3 0 3 0 2 8 (5.4%)
南多摩 139 0 1 1 3 1 6 4.3%

※上記の合格者数は、各学校ホームページや雑誌等の掲載情報に基づき、作成しています。合格率は、2021年度大学入試における右記4大学・国公立医学部の合計合格者数を、卒業生数で割って算出したものです。

都立進学指導重点校
都立中高一貫校

※上表の( )のついた数字について…都立中高一貫校のうち、高校募集を行う学校は、本年卒業生数から高校入学者数を引いた数で合格率を計算しています。
※合格者の内訳(現役・浪人)については学校により異なる場合がございますので、各学校のホームページなどでご確認下さい。

enaの公立中高一貫校情報